鍼灸治療の心得:慎重さが求められる理由
淡路島・洲本市の吉澤鍼灸治療院です。
鍼灸治療を20年以上続けてきて実感するのは、鍼は非常に効果的であるがゆえに、慎重に取り扱う必要があるということです。
使い方を誤ると、患者さんの体調を悪化させてしまう可能性があります。
例えば以下のような考え方には注意が必要です。
- 「深く刺せば効く」
- 「長時間刺したままにすれば良くなる」
- 「たくさん刺すほど効果的だ」
これらはすべて誤解です。
鍼灸の経験が増えれば増えるほど、鍼を効かすことができるようになるので慎重になります。
具体例を挙げると、足の太陰脾経に位置する「太白(たいはく)」というツボがあります。
このツボは胃腸の働きを整え、生殖器や肩こり、頭痛などに効果があります。
しかし、左右を間違えて刺すと症状が悪化する可能性があります。
また、左右両方のツボに鍼をすると、効果が半減してしまうこともあります。
鍼灸治療は「正確な診断」と「必要な分だけ行うこと」が重要です。
悪いツボを見つけるための診断
効果的な治療のためには、患者さんの状態を詳細に観察することが不可欠です。
脈診や体表観察を行い、気の巡りが滞っている場所を特定します。
その「悪いツボ」に鍼をすることで、体全体の巡りが一気に改善されるのです。
例えば、首が動かない患者さんに対しても、足のツボに鍼をすることで首の可動域が改善されることがあります。
注意すべきポイント
体力がない方に過剰な鍼灸治療を行うと、かえって負担を与えてしまうことがあります。
治療は「量」ではなく、「質」が大切です。
私の鍼灸治療を受けてくださった患者さんには、脈診や体表観察を通して適切な経絡のツボを見つけ、その方に適量な鍼で気の巡りを改善することを心がけています。
気の巡りが整えば、脈診で明確に変化が確認でき、その時点で治療を終了します。
この状態は、体が本来持つ自己回復力を最大限に引き出すための重要なことなのです。
食べ過ぎるとお腹を壊すのと同じように、過剰な刺激は体にとって負担になります。
気持ち良いお風呂も長湯しすぎると、のぼせて湯あたりすることもあります。
鍼の扱いを間違えて気を漏らすと今まで歩けていた方が歩けないようになることもあります。
適切な鍼灸治療を通じて、自然な回復力を促すことを大切にしています。