淡路島(洲本市・南あわじ市・淡路市)の吉澤鍼灸治療院です。
不妊治療のお悩みの治療について書いてみます。
鍼灸は不妊治療に有効な治療です。
昨年に自然妊娠された方のご報告です。
不妊の原因
女性側の原因
- 排卵障害
- 排卵がない、または不規則になることで妊娠しにくくなる。
- 原因例:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺疾患、過度のストレス、低体重や肥満。
- 卵管障害
- 卵管の閉塞や癒着により、卵子と精子が出会えない。
- 原因例:骨盤内感染症(PID)、子宮内膜症、過去の手術や炎症。
- 子宮の異常
- 子宮内の環境が妊娠に適していない場合。
- 原因例:子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、アデノミオーシス。
- 子宮内膜症
- 子宮内膜組織が子宮外に広がり、不妊の原因になる。
- 痛みを伴う月経や骨盤痛がある場合が多い。
- 加齢
- 女性の年齢とともに卵子の数や質が低下し、妊娠率が低下する。
- 35歳以降で妊娠の可能性が急激に低下し、40歳以降ではさらに難しくなる。
- 免疫異常
- 精子や受精卵を攻撃してしまう免疫反応が起こる場合。
- ホルモン異常
- 黄体機能不全や高プロラクチン血症などが妊娠を妨げることがある。
男性側の原因
- 精子の量・質の低下
- 精子の数が少ない、運動率が低い、形態異常が多いなど。
- 原因例:ストレス、喫煙、飲酒、精索静脈瘤、感染症。
- 射精障害
- 精液が射出されない、または逆流する(逆行性射精)。
- ホルモン異常
- 精子の産生に関わるホルモン(FSH、LH、テストステロン)の異常。
- 遺伝的要因
- 染色体異常や遺伝子欠損が精子形成に影響することがある。
- 環境・生活習慣要因
- 長時間の高温環境(例:サウナ、ノートPCを膝上で使用)、肥満、薬物使用。
両者に共通する原因
- 原因不明不妊
- 検査で明らかな原因が見つからないが、不妊の状態が続く。
- 全体の約10~20%を占める。
- 性感染症
- 性感染症(例:クラミジア)が男女ともに生殖機能に影響を与える。
- 生活習慣や環境因子
- 喫煙、飲酒、栄養バランスの悪い食事、ストレス、不規則な生活習慣が不妊を引き起こす。
- 肥満や痩せすぎ
- ホルモンバランスの崩れや生殖機能の低下を招く。
問診
40代の女性
体外受精を3回したが結果がでていません。
体外受精のあとに生理が2か月に3回きて乱れがあります。
4回目の体外受精をするために採卵があります。
採卵するのは約3か月後の予定。
鍼灸治療で体調を整えて採卵したいとのことで治療を開始しました。
切診
脈診
丁寧に脈をみると肝虚証でした。
脈は弱くなく、むしろ強めの弦脈がでていました。
虚熱(きょねつ)と言って病的な熱が発生していました。
鍼灸で血を増やしながら、体をクールダウンして子宮・卵巣・卵管の働きを良くしていくようにしました。
腹診
下腹部が固くなって瘀血(おけつ)がみられました。
これらが子宮・卵巣・卵管などの働きを阻害する要因になっていると判断しました。
瘀血(おけつ)とは
東洋医学の概念で、血液が正常に循環せず、体内で停滞している状態を指します。
これにより、さまざまな身体的・精神的な不調が引き起こされると考えられています。
瘀血の治療では、血液の循環を促し、滞りを改善することが重要です。
治療
鍼灸治療を通じて、肝虚を中心に血流を改善し、卵巣の栄養状態を整えることに取り組みました。
この治療は、3か月後の採卵に向けた準備として行われたものです。
体外受精を繰り返す中で、患者さまの体には疲労が蓄積し、生理周期の乱れや発疹などの症状も現れていました。
そのため、鍼灸治療を用いて体質改善を図るとともに、自然妊娠の可能性があるので適切なタイミングについてもアドバイスを行いました。
治療を開始してから約3か月後、患者さまは自然妊娠されました。
この時点では4回目の体外受精に向けた採卵準備を進めている最中でしたが、治療を重ねることで体の状態が整った結果、自然妊娠に至りました。
高齢妊娠となるためリスクも考慮し、妊娠から出産までの間、定期的に鍼灸治療を続けてサポートを行いました。